昨年11月、藤沢に建つ築30年の一戸建てを購入されたSさん。「予算的に、ギリギリ手が出る物件でした」ということですが、当初から古い家に住むことに抵抗はなかったといいます。「新しいピカピカの家よりも、床がギシギシいうような家の方が良くて。着古した服みたいに、すぐに馴染める感じがいいですね」。リノベーションの際も、柱やそこに刻まれた傷、鴨居などはそのまま残しました。あえて壁の凹凸は直さず、そこにご主人が落書き風のイラストを描いて部屋のインテリアに。仕上げに塗った漆喰には、お子様のかわいらしい手形をぺたり。出窓のカウンターに用いられたのは、梱包に使われていた味のある古材です。
「家とはこうでなきゃいけない、という暗黙のルールみたいなものは無視しました。キッチンも、木製のテーブルにシンクとコンロをビルトインしただけの非常にシンプルなものです。大手を含めいくつかのメーカーに改築の相談を持ちかけましたが、どこも『家とはそういうものだから』と必要ないものまで導入しようとする。私たちのこだわりを一番理解し、具体例を出して提案してくれたのがピーズ・サプライでした」。
中古の家ならではの遊び心がぎっしり詰まった住まい。汚れたら拭けばいいし、壊れたら直せばいい。かしこまらない暮らしの中に、古いものを慈しむ心が隠れていました。
|
|
 |
 |
1、収納棚などは、これからも手作りで増やしていく予定。「まだ発展途上の家なんです」とSさん。
2、まだ幼い3人のお嬢様が成長した時のことを考えて、パウダールームにはシンクが2つ。
3、刻印付きの梱包材を出窓のカウンターに。使いこまれた古材が、築30年の家にしっくり馴染む。 |
|
|